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zoom RSS 有用性―熱力学が見落としたもの

<<   作成日時 : 2007/08/30 21:38   >>

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しばらく価値というテーマで来ましたんで、今日は有用性という言葉について考えてみたいと思います。

人間が何かを目的として燃料を燃やすときも、どこか1か所にまとめて火をつけるわけです。決して、散らばった燃料に火をつけることはしません。灯油をその辺に撒いて火を着けたら立派な放火ですね(笑)。
こんなふうに書いてしまうと、燃料を1か所に集めて燃やすということが、周囲に引火させないということと関連づけて考えてしまいますが、ここで注目しておきたいことは1か所に集中させるというまさにこの点なんです。熱が1か所に集中していれば揚げ物でも炒め物でも何でもできます。温度の調節も自在にできます(例:ガスコンロ)。ところが熱が広範囲に散らばっていて、温度もそんなに高くないということだと、せいぜい暖房にしかならないわけです。しかもこのような場合、暑いからちょっと温度を下げようと思っても、ちょっと大変なわけです。なぜなら熱が広範囲に広がっていますから、離れた場所から風を送ってやらないと下がらないわけです(例:大型車のエンジン)。
ガスコンロの例だと、熱源からちょっと遠ざけたりすれば鍋の温度はすぐに下がります。これは1か所に熱が集中していることのメリットでしょう。

こんなふうに、同じカロリーだけ燃やしてもその集中の度合いによって有用性が大きく変わってくるということなんです。ですから同じカロリーでも純度の高いガスは高く、純度の低いガスは安くしないと釣り合いがとれません。

液体・気体と固体の違うところ

気体の酸素でも、液体のアルコールでも、密閉性の高い容器に入れてきちんとフタをしておかなければ逃げ出してたちまち価値を失ってしまいます。固体はどうでしょうか。鉛や錫のインゴットは放っておけば表面が錆びてくるということはありますが、逃げ出してしまうということはありません。固体は、その重さのため、粉末にしないかぎり環境と混ざってしまうということはありません。鉛や錫は鉱物から取り出されて精練されたあとは、放っておいてもそのままの集積度を保つわけです。
私たち人間が取り扱うものは圧倒的に固体が多いわけです。そして重さがありますから大気中に置いても飛んでいってしまうこともないわけです。固体だからこそ「いつの間にかなくなっていた」ということが起きにくいのであり、必要なときに必要なだけ利用することができるわけです。
そして私たちが有用だと思うもの、捨てるにはもったいないと思えるものは、壊れたり不純物が混ざったりしていないものです。ということは、私たちがある品物を手にした段階で、その品物はすでに「有用性」を持っており、その後もしばらくは、その有用性を保持し続けるということなんです。人間から見て「有用」、つまり利用できるということは、当然、物質がそれ固有の性質を発揮するということですので、ある程度以上の密度(集積度)を持たなくてはならないというのも大事な点です。もちろん密度も純度も高いほうが取り扱いが楽になるという点もあります。


しかしながらこうしたことはあまりにも当たり前すぎて、普段私たちは意識せずに生活しています。そしてあまりにも日常生活の中に数字が浸透してしまっているため、「今日は甘いものを食べ過ぎちゃったから、ご飯を減らそう」と言います。ものごとには数字で表せるものと、そうでないものがあります。ところが数字で表せると客観的に比較することができるため、私たちはだんだん数字で表せる側面しか見なくなります。


鎌倉時代以前、日本では炭を火力にして砂鉄から鉄を取り出していました。たたら製鉄と言われるものです。たたらで最大何度の熱が得られるか、温度の上げ下げが自由に行えるかということは、使用している炭の種類、緻密さに関係しています(立地条件なども関係しているのですが)。理論科学では(応用科学や工学とは違って)こういった側面は考慮せず、もっぱら理想的な気体を完全に燃焼させたらどうなるかという面だけを扱います。
栄養学でも例えば炭水化物の熱量について、単純にグラム当たりのカロリーを比較することしかしません。そういう発想だから食べ物の熱量を求める際に酵素で分解するのではなく、燃焼させてカロリーを量るわけです。

たたら製鉄では、薪を集めて鉄鉱石から鉄を溶かし出すのではなくて、薪をいったん良質な炭にして、それを使って鉄を溶かします。私たちはあまりにもカロリーばかりに気を取られるようになっているため、いったん炭にして製鉄するということがとても不思議に感じます。
けれどもそのようにする一番の理由は温度だと言われています。鉄を溶かす(還元)ためには摂氏1200度以上の熱が必要ですが、薪では風をかなり送り込んでもなかなかそこまで上がらないんだそうです。暖房や調理であれば、電気だろうが、ガスだろうがそんなに違いはありません。けれども何か特殊な用途に熱を使うのであれば、何カロリーかではなくて、熱の「質」が重要になってくるというわけですね。

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